事案
- 現在Xが甲土地を占有している
- 甲土地はXの先代Pが占有を開始し、Pが死亡後、Xが占有を承継
- 甲土地の所有権登記名義人はA
- Aは登記の受付年月日から推測して既に死亡
- 甲土地をXに名義にする
Aが甲土地を取得
↓
Xの先代Pが甲土地の占有開始
↓
Pの占有開始から20年経過(取得時効成立)
↓
Aが死亡
↓
Pが死亡(Xが占有承継)
手順1
相続人調査
手順2
案内文送付
手順3
訴訟提起
手順4
送達・口頭弁論
手順5
結審・判決
手順6
判決の確定
手順7
判決による登記
相続人の調査
Xから時効取得に基づく所有権移転登記手続請求訴訟の依頼を受託し、その上で被告を特定するためにAの相続に係る戸籍請求をする。
訴訟が絡むと送達の問題があるので、Aの相続人「以下、相続人」を確定する工程は特に注意する。
相続人が確定した段階で、共同申請か単独申請(判決による登記)かを決める。
どちらを選択するかは個々の事案次第。
案内文送付
相続人全員に手続の協力を求める。
連絡先が不明な場合は住所宛てに案内文を送付するしかない。
訴訟提起
事前に相続人全員に、事情と手続の内容を説明の上、訴訟を提起する。
第1 請求の趣旨 |
1 被告らは、原告に対し、別紙物件目録記載の不動産につき、AからP(最後の住所【Pの最後の住所】)へ 年月日時効取得 を原因とする所有権移転登記手続をせよ。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 との判決を求める。 |
第2 請求の原因 |
(1)Pは、年月日、別紙物件目録記載の不動産(以下、「本件不動産」という)を占有していた。
(2)Pは、同日以後占有を続け、前項の占有開始時から20年後である年月日経過時、本件不動産を占有していた。 (3)年月日、Pは死亡し、同人の権利義務をXが相続した。 (4)本件不動産については、A名義の所有権移転登記が存在する。 (5)Aは何月日に死亡した。被告らはAの相続人である。 (6)原告は、被告らに対し、本訴状の送達をもって本件不動産に係る取得時効の援用の意思表示をする。 (7)よって、原告は被告らに対し、別紙物件目録記載の不動産につき、AからP(最後の住所【Pの最後の住所】)への 年月日時効取得を原因とする所有権移転登記手続を求める |
補足
- 本件において、土地を時効取得したのはPである。
- 相続人に余計な心配をかけないために、請求の趣旨中の訴訟費用の負担は原告にしておくとよい
- 請求の原因の(6)を入れることで、時効援用の意思表示を送達と同時に可能
登記申請
1件目
登記の目的 | 所有権移転 |
原因 | 年月日時効取得 |
権利者 | 亡 P |
申請人 | 上記相続人X(=原告) |
義務者 | 亡 A相続人何某(=被告) |
登記の目的 | 所有権移転 |
原因 | 年月日相続 |
被相続人 | P |
相続人 | X |