複数の管轄にまたがる共同根抵当権設定

共同根抵当権の設定

事案

  • A法務局管轄の不動産aとB法務局管轄の不動産bに純粋共同根抵当権を設定。
  • aとbの根抵当権設定日は同日。
  • aとbの共同根抵当権設定契約証書(以下、「設定証書」)が1通有り。

問題の所在

根抵当権者は、aとbに共同根抵当権の設定契約と登記を同日付でしたい。そこで、各々の管轄法務局にいて共同根抵当権設定の登記(以下、「本件登記」という。)申請を同日付で受付けてもらう必要がある。

aとbにつき、登記の受付日を同日付にする申請は可能か。

本件では設定証書が1通なので、不可。

A法務局とB法務局に同日付で不動産登記を申請するならば、登記原因証明情報である設定証書が2通必要である。

MEMO
オンライン申請の場合、登記申請日から2開庁日以内に法務局へ設定証書の原本を提出すれば足りる。しかし、審査完了がそれに間に合わない。

では、設定証書が2通あれば、本件登記ができるのか。

この答えを出すには、まず共同根抵当権のおさらいから。

共同根抵当権の性質

共同担保の要件

根抵当権は、根抵当権設定契約をすれば発生する物権である。

しかし、根抵当権が設定された不動産を共同担保の関係にするには、不動産につき、共同根抵当権である旨の登記が必要である(民法第398条の16)。

言い換えれば、共同根抵当権は登記が成立要件である(これに対し、抵当権を共同担保にする旨の登記は成立要件ではなく、対抗要件。)。

故に、複数の管轄にまたがる不動産に共同根抵当権を設定する流れは以下の通りになる。

手順1
設定契約
aとbにつき、共同根抵当権設定契約をする。
手順2
最初の登記
aの管轄法務局であるA法務局へ根抵当権設定登記を申請する。
手順3
最初の登記が完了
aの登記事項証明書取得する(2番目の登記で前登記証明書として使用するため)。
手順4
2番目の登記
bの管轄法務局であるB法務局へ共同根抵当権設定(追加)登記を申請する。

同日付の可否

本件登記を同日付で行うには、手順2から手順4を同日付ですることになる。

そうすると、手順4の時点でaの登記事項証明書を取得できない。

そこで、2番目の登記の申請先であるB法務局に下記の根回しが可能であれば、本件登記が可能となる。

  • A法務局における最初登記が完了するまで、B法務局の調査を待ってもらうこと。

以上より、設定証書が2通以上あれば可能である。

根抵当権者がどうしても本件登記を同日付する意向であれば手配することになる。

また、後日登記申請する不動産に仮登記をうっておくのも手であろう。

共同抵当権の性質

では、共同抵当権の場合はどうか。

共同抵当権は共同抵当権設定契約した時点で成立する。

すなわち、共同抵当権は登記が成立要件ではない。

よって、抵当権設定証書が2通あれば、上述の根回しをしなくても、複数の管轄にまたがる不動産に共同抵当権を設定することは可能である。

これは、共同抵当権設定の申請書に、「管轄外の不動産」を記載をすることからも明らかである。

しかし、前登記証明書を2番目の申請に提出しなければ、登録免許税法13条2項の減税が受けられない。

結局、共同抵当権の場合も事実上上述の根回しする必要がある。

故に、共同抵当権と共同根抵当権の場合はいずれも同じ手順を踏むことになる。

共同根抵当権設定の申請書

共同根抵当権設定

1件目

登記の目的 共同根抵当権設定
原因 年月日(設定契約の日付) 設定
登録免許税 債権額×0.4%
MEMO
管轄外の物件は表示しない。

共同根抵当権設定(追加)

2件目

登記の目的 共同根抵当権設定(追加)
原因 年月日 設定
登録免許税 不動産の数×1,500円
前登記の表示 前登記不動産の所在・地番(所在・家屋番号)と
前登記の根抵当権の順位番号を表示
MEMO
  • 前登記証明書添付。
  • 原因日付は根抵当権設定契約日(2件目の登記申請日ではない)。

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