民法で規定される成年後見人(以下、後見人)の仕事は財産管理と身上監護
財産管理の例
- 預貯金通帳の保管
- 不動産の維持修繕
身上監護の例
- 施設への入所手続き
- 介護サービスの利用契約
身上監護という言葉が難しいですが、要は身の回りの手続きの世話というイメージ
注意
身上監護には入浴・食事補助などの事実行為は含まれないつまり、被後見人の方について食事・入浴介助が必要な場合は後見人が直接的に介助をするのではなく、後見人はホームヘルパーさんに依頼するための手続きをする
本題はここから
上記の例では食事・入浴介助を事実行為、ヘルパーさんの契約を法律行為という
事実行為は後見人の仕事ではないとされているが、事実行為と法律行為は簡単に分けられるものではない
具体例
被後見人の方のテレビが故障した。そこで新しいテレビを購入。この時、新しいテレビを購入する手続は法律行為、テレビの配線やチャンネル登録は事実行為。
後見人がテレビを購入したら観れるように設定までするのが通常である
つまり、日常の行動は事実行為と法律行為はセットになっておりその境目はグラデーションのように曖昧である
後見人の仕事の範囲の線引きは重要な問題である
言葉の定義
財産管理と身上監護の言葉の定義とは
定義(規定)している条文なし
そこで、下記の条文を参照
成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
条文中の「生活、療養看護及び財産の管理に関する事務」の箇所がヒントになりそう
財産管理と身上監護はこの条文の解釈により成り立っていると考えられる
後見人は被後見人にとって重要な役割を担う存在です
後見人の業務について積極的に定義(規定)する必要があると考えます