源泉徴収制度の概要
源泉徴収とは所得税及び復興特別所得税(以下、所得税等)を徴収するための仕組みである。そして、源泉徴収によって徴収された所得税を源泉所得税という。
所得税等は報酬を受け取った者が確定申告をして納税するが基本である。
しかし、司法書士報酬については報酬を支払う者が、報酬を受け取る司法書士に代わって所得税等を納税することが義務付けられている。
つまり、報酬を受け取る司法書士は、これに報酬が行き渡る前段階、すなわち源泉段階で所得税等を徴収されるのである。これが源泉徴収の意味である。
源泉徴収がなされた報酬の仕訳方法は下記を参照
法人への報酬
そもそも所得税等は個人に課される税金であり、法人には課されない。(法人には法人税が課される。)
そして、前述のとおり源泉徴収は所得税等を徴収する仕組みであるから、司法書士法人に報酬を支払う者は源泉徴収をする必要はない。
そのため、司法書士法人で勤務する者は源泉徴収と無縁である。
源泉徴収義務者
このように司法書士に報酬を支払う者は源泉徴収をしなければならないが、この源泉徴収をする者を源泉徴収義務者という。
源泉徴収義務者は個人・法人を問わない。
但し、次のいずれかに該当する場合、報酬を支払う者は源泉徴収をしなくてよい。
- 給与や退職金の支払がなく、司法書士や税理士などへの報酬だけを支払う人
- 常時2人以下の家事使用人(お手伝いさん)だけに給与を支払っている人
司法書士報酬の源泉徴収
純粋な司法書士業務
司法書士業務の報酬については報酬額から1万円を差し引いた額の10.21%が源泉徴収額である。
よって、司法書士報酬が1万円以下であれば源泉徴収は不要ということになる。
もっとも、これは純粋な司法書士業務の報酬の場合である。
例えば司法書士がセミナー講師として報酬を得た場合や、司法書士会の会務の手当てとして報酬を得た場合には純粋な司法書士報酬とはいえない。この場合には報酬額の10.21%が源泉徴収額となる。
源泉徴収の対象
源泉徴収は消費税も対象である。そのため、消費税込みの報酬額から1万円を差し引いた額の10.21%が源泉徴収額である。
もっとも、請求書で報酬と消費税が明確に区分されている場合は報酬額のみを源泉徴収の対象とすることができる。
また、登録免許税などの立替金は源泉徴収の対象ではない。