登記の申請代理人による登録免許税の還付金の受領

概要

登記の申請代理人が、登録免許税を納付して登記の申請をし、登記の申請の取下げ若しくは一部取下げ、又は過誤納が生じた場合、登記の申請代理人は登録免許税の還付金の受領ができる。

これを「登記の申請代理人による登録免許税の還付金の受領」という。

なお、登記の申請が却下された場合は「登記の申請代理人による登録免許税の還付金の受領」はできない。

必要書類

登記の申請代理人が登録免許税の還付金の受領をするには原則「還付通知請求・申出書」及び「還付金の受領にかかる委任状」の提出が必要である。

もっとも、登記の申請に添付した委任状に「還付金の受領」の権限が含まれていれば、「還付金の受領にかかる委任状」を新たに徴求する必要はない。

登記の申請に添付した委任状の「還付金の受領」の権限とは、例えば登記の申請に添付した委任状の中の「登記に係る登録免許税の還付金を受領すること」の文言の存在である。

過誤納

過誤納により登録免許税を還付する場合の還付金の代理受領については、あらかじめその旨を登記官に申し出た場合であって、申請に係る登記の完了後速やかに必要書類を提出したときに限り、登記の申請代理人による登録免許税の還付金の受領ができる。

これに対し、登記の完了後速やかに必要書類を提出しないときには、登記の申請をした者に登録免許税が還付される。

還付通知請求・申出書の書き方

還付を受くべき金額

還付金額を記入する。すなわち、補正前の申請情報記載の登録免許税額から、補正書のそれを差し引いた金額を記入する。

納税地

(住所に同じ)と記入する。これ以外の文言を書くパターンは不明。

納付方法及び収納機関の名称

登記の申請における登録免許税の納付方法を記入する。

電子納付の場合は納付日及び納付番号を記入すべきであると考えられる。

希望する還付場所

「受領代理人の口座」として金融機関名・支店・預金種目(普通又は当座)・口座番号を記入する。

「受領代理人氏名」とその「フリガナ」を記入する。

「登記の申請代理人による登録免許税の還付金の受領」の場合、登記の申請代理人が受領代理人となることが一般的だろう。

備考

還付金の受領にかかる委任状を提出せず、登記の委任状を援用する場合は次のように記入する。

  • 受領代理人への還付を希望
    受領代理人連絡先 00-0000-0000
    添付書類
    申請時の委任状を援用

下段

最下段には次の文言を記入する。

「上記のとおり登録免許税法第31条第2・5・6項の規定により申し出ます。」

併せて、次の情報も記入する。

  • 申請年月日
  • 申請人の住所・氏名・フリガナ
  • 申請代理人の住所・氏名・フリガナ
  • 申請先の法務局名

※この欄にフリガナを付すのは還付先口座の名義人と、申請人又は申請代理人の同一性を確認するためであると考えられるが真相は不明である。税務署の要望であろう。

最後に申請人代理人(司法書士・土地家屋調査士)の職印を押印する。

ところで、特例方式の場合、申請情報には電子署名をするため、ここに職印を押印しても登記の申請情報の申請代理人と、還付通知請求・申出書の申請代理人の同一性を担保することはできない。

同様に書面申請の場合、申請書に認印を押印していれば、ここに職印を押印しても登記の申請書の申請代理人と、還付通知請求・申出書の申請代理人の同一性を担保することはできない。

もっとも、登記の委任状を援用する場合も、「還付金の受領にかかる委任状」を提出する場合も、登記申請者と、還付通知請求・申出書の申請人の同一性の担保はできるので、申請代理人の同一性を担保する必要性は低い。

そうすると、ここに職印を押印する実益はあまりない。職印の押印を求める根拠としては司法書士法施行規則28条1条又は土地家屋調査士法施行規則26条1項の規定の存在であろう。

しかし、この規則を根拠に「還付通知請求・申出書に職印を押印すべき」とすれば、「書面申請における申請書にも職印を押印すべき」となる。よって、この根拠はあまり説得力のあるものではない。