司法書士試験予備校の選び方

独学か予備校か

合格までの期間

予備校を選ぶ前に、そもそも予備校を利用せずに独学ではだめなのかという問題がある。

予備校を利用する短所は、予備校に支払う費用が発生することである。そして、司法書士試験の基礎講座となれば数十万かかる。そこで、まず、予備校の講座受講料に数十万円を出費する必要があるかを検討する。

ところで、予備校を利用せずに独学で司法書士試験を合格する者は一定数存在する。よって、合格のために予備校を利用することは絶対条件ではないだろう。

しかし、独学で合格した者が、仮に予備校を利用していれば、より早く楽に合格できたであろうと思う。

司法書士試験の合格はゴールではなく、通過点に過ぎない。よって、合格することだけでなく、できるだけ早く合格することも目標として掲げる必要がある。もっとも、合格までの期間は個人差がある。ここで言いたいのは個人個人にとって最短で合格するということで、他人と比べてどうこうという話ではない。

よって、仮に独学で合格する実力があるとしても、予備校を利用してより早く合格すべきであると考える。

そこで、独学より早く合格するということのために予備校の受講料を支払う必要があるのかという問題になる。

これに関しては、仮に予備校を利用することで、独学より1年間早く合格できるとする。そうすると、1年間早く司法書士として勤務できる。勤務司法書士の給料の相場から考えれば、予備校の受講料はこの1年間で回収できるであろう。

もっとも、予備校利用と独学で合格までの期間に差がない人もいるだろう。しかし、そのような人はかなり少数派ではないか。

独学により合格までの期間が延びれば延びるほど、司法書士として勤務する機会がなくなるので、その損失は予備校の受講料の比ではない。(もっとも、これは予備校が受講料を払うに値するものであることが前提である。)

資格試験勉強の本質

資格試験の勉強から合格までの道のりは、山登りに似ている。すなわち、勉強が山頂を目指して歩くことで、合格が山頂に到達することである。

ひたすら山頂を目指して歩き続ければいつかは到達する。到達するまでの時間は歩く人の体力・能力・登ることに充てられる時間の量など様々な要因で変動する。

そして、独学で勉強することは山に一人で登ることである。これに対し、予備校を利用することは山登りのガイドを雇うことである。ガイドがいれば頂上までの最短距離を教えてくれたり、頂上まで登るのに必要な体力・器具を教えてくれる。独学ではそれらを自分で調べなければならない。独学で合格した者は自分で山登りの方法論を確立しているので、合格後はガイドになれるであろう。しかし、合格だけを考えればガイドになるための知識は不要で、頂上まで登るだけのノウハウがあれば足りる。

もっとも、山を登るのは本人であるから、いくらガイドに費用をかけても最終的には本人が登り続けなければ頂上には到達しない。

受講形態

通信

予備校を利用する際は、生の講義を聴きに予備校に通う(通学)か、WEB上の講座を聴く(通信)かを選択することになる。これに関しては通信で受講することを勧める。なお、大手予備校で通信に対応していないものはないと思われる。

倍速

ここでは、通信の長所をご紹介する。

まず、通信では倍速設定が可能である。筆者の経験上、1.5倍速で講義を聴くと効率が良い。

倍速で聴くと理解が追い付かないと思われるかもしれない。しかし、仮に通常速度で講義を聴いたとしても、法律の学習は1回聴いただけで完璧に理解することはできない。

そうであれば、まずは分からないところがあっても、とりあえず聴いてみて、また後で再度聴き直す方が法律学習においては効率的である。(最初は通常速度で聴いて、2回目以降倍速で聴くという方法もある。)

講義を聴くことは資格の勉強の初期段階に過ぎない。資格の勉強の本質は自分で過去問を解くことだからである。よって、講義を受講する段階はなるべく早く終わらせて、問題演習という次の段階に時間に充てるべきである。

通信に特化した講座

但し、注意すべきなのは通信と言いつつも、本当の意味で通信でない講座があることである。

すなわち、通信講座と称して、通学の講義を録画したものを配信する予備校がある。

通信は通学と違って、画面上に講師の画面だけでなく、テキストを表示することが可能である。こうすることで受講者はいちいち講師の顔と手元のテキストを交互にみる必要はなく、映像画面だけに集中できる。

よって、通学の講義を収録したものをそのまま配信する講座はお勧めしない。(無論、通学で受講するよりはましである。)

移動時間

生講義を受講する場合は当然予備校まで通学しなければならない。移動のために時間を使うのであれば、その時間を通信講座受講に充てた方が有意義である。

先に述べた通り、講義を受ける時間は勉強の初期段階であるから、この段階はできるだけ早く終わらせる必要がある。それにもかかわらず、この初期段階をこなすために通学時間を使うのは、時間の効率的な利用とは言えない。

休憩

生講義であれば、予備校の都合で休憩に入る。また、自分の都合で講義を中断することはできない。

通信であれば、好きな時間に休憩をとり、中断することができる。学校の授業であれば授業中眠くても寝るなと言われるが、資格試験の勉強は眠い中無理に勉強することは効率が悪い。眠い時には寝て、休憩したいときはして、自分のペースで講座を受講することが合格するために必要なことである。

比較

  通信 通学
講義の中断 不可
倍速で視聴 不可
隙間時間で視聴 不可
講師に直接質問 不可
講義途中の質問 不可 不可
受講時間帯 自由 決まっている
受講仲間 できない できる
講師の選択肢 多い 少ない
価格 割安 割高
スケジュール管理 自分 予備校

予備校選択

形式的要件

先に述べた通り、通学の講義を収録したものを配信するのではなく、通信に特化して作られた講座を受講すべきである。

また、そのような講座は比較的安価である。なぜなら、通学の講義を収録し配信する講座は、通学運営における人件費や家賃を通信講座代金に転嫁しているからである。

また、スマホのアプリ対応しているかも重要である。アプリがある予備校は、予め講義をダウンロードしてオフラインでも受講できるものがある(LECなど)。

これに対し、アプリに対応しておらず、さらにウェブのブラウザでも画面が小さく操作もしづらい通信講座がある(伊藤塾)。

これらは予備校のHPで予め視聴することで確認ができる。

実質的要件

基礎講座を受講しただけでは司法書士試験の本試験問題は解けない。基礎講義を受講して問題演習を繰り返すことで、問題が解けるようになる。つまり、合格するためには、アウトプット(問題演習)の時間を、インプット(講座受講)の時間の何倍も確保する必要がある。

よって、予備校・講師・テキスト等で合否が分かれることはありえない。但し、これは予備校・講師いずれも最低限の質が担保されていることが前提である。最低限の質が担保されているか否かは判断ができないから、この点に関しては大手の予備校を利用するのが無難である。

勉強方法

基本的に予備校のカリキュラム通りに学習すればよい。但し、インプット講座のみ受講した場合は、記述式問題の対策上注意が必要である。というのも、記述問題には解法があるからである。

この解放を知らなければ記述問題で安定した点数をとることができない。また、その解法は自分で簡単に編み出せるものではない。その解法はインプット講座ではなく、アウトプット講座で収録されていることがあるので、受講される講座に記述式問題の解法講座があるか確認する必要がある。