調停に代わる審判の意義
内容
調停に代わる審判とは、調停が成立しない場合に家庭裁判所が事情を考慮して下す審判を指す(家事事件手続法284条)。
これは、家事事件手続法(以下、「法」)39条の審判とは異なる。
また、「合意に相当する審判」がなされる調停においては「調停に代わる審判」はできない。
すなわち、別表第2調停と一般調停において「調停に代わる審判」はなされうる。
必要な場面
調停は当事者が合意しなければ、訴えを提起するか、法39条の審判手続きに移行する。
もっとも、調停において合意が成立しない理由は様々である。
例えば、下記のような場合にまで調停不成立とするのは合意をしている当事者に過度な負担を課す。
- 当事者の無断欠席
- 当事者が感情論で合意しない
- 些細な事項を理由に不合意
そこで、家庭裁判所が調停に代わる審判を下すことで、円滑な紛争解決を図る。
調停に代わる審判の効果
審判の効力
家庭裁判所は、調停に代わる審判において、子の引き渡しや金銭その他財産上の給付を命じることができる(法284条3項)。
そして、確定した「調停に代わる審判」につき、別表第2調停の場合は法39条の審判と、その他の調停は確定判決と同一の効力を有する(法287条)。
取下げ
調停に代わる審判がなされた後は家事調停の申し立ての取下げができない(法285条1項)。
異議申し立て
当事者は調停に代わる審判に対し、異議を申し立てることができる(法286条1項)。
この異議は、調停に代わる審判の告知を受けた日から2週間以内にしなければならない(法286条2項)。
そして、適法な異議がされると、調停に代わる審判は効力を失う(法286条5項)。
この場合、別表第2調停においては家事審判に移行する(法286条7項)。
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