家事審判の概要
審判事件は、家事事件手続法別表第1に掲げる事項に関する事件(別表第1事件)と家事事件手続法別表第2に掲げる事項に関する事件(別表第2事件)に分かれる。
審判事件は、裁判官が当事者から提出された書類や家庭裁判所調査官が行った調査の結果等に基づいて判断し、結論を出す。
そして、審判に対しては2週間以内に即時抗告ができる。
もっとも、すべての事件に即時抗告ができるわけではなく、即時抗告ができるものは法律に定めがある。
別表第1事件
別表第1事件は一般に当事者間の争いを解決する事件ではないので、当事者間の合意による解決を考慮する必要がない。
よって、調停の申立はできず、専ら審判によって解決される(家事事件手続法244条)。
また、別表第1事件は、公益にも関わるので家庭裁判所が積極的な関与が必要な事件である。
別表第1事件の例は下記である。
- 子の氏の変更許可
- 相続放棄
- 名の変更の許可
- 後見人の選任
- 養子縁組の許可
別表第2事件
別表第2事件は当事者間に争いのある事件であるので、第一次的には当事者間の話し合いによる自主的な解決がされるべき事件である。
よって、まずは家事調停を申し立てるのが通例である。
そして、家事調停が成立しなかった場合は、訴えが提起されない限り、自動的に家事審判の手続きに移行する(家事事件手続法272条4項)。
また、当事者が審判を申し立てた場合でも、裁判官はまず調停による解決を試みることができる。
別表第2事件の例は下記である。
- 親権者の変更
- 養育料の請求
- 婚姻費用の分担
- 遺産分割
審判の効力
確定した家事審判は執行力を有する債務名義である。
よって、強制執行をする場合、執行文は不要である。
書式家事事件の実務全訂10版 審判・調停から保全・執行までの書式と理論 (裁判事務手続講座) [ 二田伸一郎 ]家事審判法75条
金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずる審判は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。