合意に相当する審判の意義
内容
合意に相当する審判は特殊調停においてなされる審判である。
※特殊調停については下記を参照
特殊調停は公益も考慮する必要があるので、当事者の合意によってのみ調停を成立することは妥当ではない。
しかし、調停手続きは訴え提起による解決より簡易迅速な紛争解決方法である。
そこで、訴えと調停の調和を図るため、「合意に相当する審判」が設けられている。
なお、家事事件手続法(以下、「法」)39条の審判とは異なる。
要件
「合意に相当する審判」が成立するには、当事者の合意に加えて、裁判所がその合意を正当と認める必要がある。
また、身分関係の当事者の一方が死亡している場合は「合意に相当する審判」はできない。
家事事件手続法277条1項
人事に関する訴え(離婚及び離縁の訴えを除く。)を提起することができる事項についての家事調停の手続において、次の各号に掲げる要件のいずれにも該当する場合には、家庭裁判所は、必要な事実を調査した上、第一号の合意を正当と認めるときは、当該合意に相当する審判(以下「合意に相当する審判」という。)をすることができる。ただし、当該事項に係る身分関係の当事者の一方が死亡した後は、この限りでない。
一 当事者間に申立ての趣旨のとおりの審判を受けることについて合意が成立していること。
二 当事者の双方が申立てに係る無効若しくは取消しの原因又は身分関係の形成若しくは存否の原因について争わないこと。
合意に相当する審判の効果
審判の効力
確定した合意に相当する審判は確定判決と同一の効力を有する(法281条)
取下げ
合意に相当する審判がなされた後は、相手方の同意がなければ家事調停の申し立ての取り下げができない(法278条)。
異議申し立て
合意に相当する審判に対し、異議を申し立てることができる(法279条1項)。
この異議は、合意に相当する審判の告知を受けた日から2週間以内にしなければならない。
そして、適法な異議がされると、合意に相当する審判は効力を失う(法280条4項)。
書式家事事件の実務全訂10版 審判・調停から保全・執行までの書式と理論 (裁判事務手続講座) [ 二田伸一郎 ]