保険契約と相続

保険金受取人の地位

保険契約者  B
被保険者   B
保険金受取人 A

保険事故(Bの死亡)が発生した場合はAが保険金の受取人になる

保険事故発生前(Bの死亡前)にAが死亡していた場合、保険金の受取人は誰か

Aの相続人全員(保険法46条)

この場合、Aの相続人は保険法により保険金受取人となる

Aの相続人は、「Aの保険金受取人の地位」を相続によって承継するのではないと解される

また、Bは保険事故が発生するまでは、保険金受取人を変更できる(保険法43条)

したがって、Aの相続人を保険金受取人にしたくなければ、Aが死亡した時点で保険金受取人を変更すればよい(無論、Aが存命の時でも変更可)

保険契約者の地位

保険契約者  A
被保険者   B
保険金受取人 A

保険契約者Aが死亡した場合、Aの保険契約者たる地位は相続財産になると解される

(被保険者Bは死亡していないので保険事故は不発生である)

Aの相続人は保険契約者の地位を相続するので、保険金受取人を変更することができる

但し、保険金受取人の変更には被保険者の同意が必要(保険法45条)

遺言をする場合

保険金の受取人変更

保険金の受取人の変更は保険会社を通して手続きをするのが通常であるが、遺言によってもできる(保険法44条1項)

※平成22年4月1日の保険法施行前に締結された保険契約は遺言によって保険金受取人の変更はできない

但し、遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、保険者に対抗できない(保険法44条2項)

保険法44条2項により、保険事故発生後速やかに保険会社に遺言の存在を知らせる必要がある

故に、保険金の受取人の変更は遺言で変更はできるが、できるだけ保険契約で変更する方がトラブルのリスクが減ると考えられる

また、死亡保険契約の保険金受取人の変更は、被保険者の同意がなければ効力を生じないことにも注意が必要である(保険法45条)

保険契約者の地位

保険契約者の地位は相続の対象であると解されれば、遺言で保険契約者の地位を、特定人に相続又は遺贈することが可能であると考えられる

但し、予め保険会社に確認する必要がある

というもの、遺言が法的に有効でも保険会社がすんなり応じるかは疑問であるし、また、保険契約で「保険契約者の相続人」を定めることができれば遺言の利用するより手続きが簡易だからである