建売住宅の住宅用家屋証明書

住宅用家屋証明書

住宅用家屋証明書の対象建物は注文住宅と建売住宅に分類できる。

なお、分譲販売される区分建物は住宅用家屋証明書の取扱い上は後者に分類される。

建売住宅の住宅用家屋証明書発行要件は主に次のとおり。

  1. 個人が自己の居住の用に供する家屋(セカンドハウスは対象外)
  2. 取得後1年以内の登記する
  3. 家屋の床面積が50平方メートル以上
  4. 建築後、使用されたことがない(未使用)
  5. 事務所・店舗等との併用住宅の場合は、居住の用に供する部分の床面積が90パーセント以上
  6. 区分建物の場合は、建築基準法上の耐火建築物、準耐火建築物、又は低層集合住宅

建物表題登記

注文住宅と建売住宅いずれの場合も建物表題登記をした後に住宅用家屋証明書を取得することになる。

そして、後述のように実務上は注文住宅と建売住宅の建物登記事項証明書の記載は同じである。

すなわち、建物表題部の「原因及びその日付」欄には「年月日新築」と、「所有者」欄には建物の購入者の住所氏名が記載される。

ところで、建売住宅販売においては、売主たる工務店が建物を建築し、購入者に売り渡す流れをとる。そのため、本来であれば工務店を建物の原始取得者、購入者を特定承継者とする次の登記を申請すべきである。

  1. 工務店を所有者とする建物表題登記
  2. 工務店を所有権登記名義人とする所有権保存登記
  3. 工務店から購入者への売買を登記原因とする所有権移転登記

しかし、このような登記では工務店に不動産取得税や登録免許税が発生する。そこで、実務上は次の登記を申請する。

  1. 購入者を所有者とする建物表題登記
  2. 購入者を所有権登記名義人とする所有権保存登記

この登記申請は注文住宅の場合と同じである。よって、注文住宅と建売住宅では建物表題登記及び所有権保存登記後の登記事項証明書に差異は生じない。

また、建物表題登記においては申請人が建物所有者であることを証明するために所有権証明書を添付する。建売住宅の場合、所有権証明書の一部としてに工務店が購入者に建物を譲渡したことを証明する建物譲渡証明書を添付する。

建売住宅の住宅用家屋証明書の必要書類

申請書

申請書の表題には租税特別措置法施行令の該当条文が記載されてある。

長期優良住宅、低炭素住宅及びこれら以外の住宅のいずれかを選択し、さらに「建築後使用されたことのないもの」を選択する。

また、申請書の「取得年月日」に建物譲渡証明書記載の譲渡日を記入する。

登記情報

建物の登記情報は市町村が床面積要件を確認するために添付する。

登記情報に代えて建物表題登記完了証でもよいが、所有権保存登記申請でどのみち登記情報を取得するので表題登記完了証を添付することはまれである。

建築確認済証・検査済証

市町村によっては建築確認済証等の添付を求められる。

注文住宅の場合は床面積や居住用であるか等を確認するために添付する。そのため、注文住宅の場合は建物の登記情報を添付すればこれらは不要である。

これに対し、建売住宅の場合は上記に加えて、建物の原始取得者を確認するために必要だと考えられる。

建物譲渡証明書

建売住宅が原始取得者たる工務店から特定承継者たる購入者へ譲渡されたことを証明する書類である。

建物譲渡証明書は建物表題登記の添付書類であるから、表題登記を担当する土地家屋調査士に事前に建物譲渡証明書の原本還付を依頼し、建物表題登記完了後に受け取るとよい。

家屋未使用証明書

住宅用家屋証明書中の「建築後、使用されたことがない」ことを証明する書類である。家屋未使用証明書は建物表題等登記では使用しない書類であるから、司法書士が原始取得者たる工務店から直接もらう必要がある。

その他

  • 委任状
  • 住民票(不要な場合が多い)
  • 長期優良住宅・認定低酸素住宅の通知書
  • 未入居の場合の申立書

建売住宅と注文住宅の違い

建物登記事項証明書

前述のとおり、建売住宅と注文住宅の登記手続きは同じであるから、建物登記事項証明書からいずれかを判断することはできない。

なお、建物登記事項証明書の「原因及びその日付」欄には建物の新築年月日は記載される。

家屋未使用証明書

建売住宅の住宅用家屋証明書を取得するには家屋未使用証明書が必要である。

ひな形

建売住宅と注文住宅は建物登記事項証明書では判別できないので、注文住宅の住宅用家屋証明書のひな形で建売住宅の住宅用家屋証明書を取得できる場合がある。

すなわち、建物登記事項証明書の「原因及びその日付」欄の新築年月日から1年以内に住宅用家屋証明書の発行申請をすると、注文住宅のひな形及び注文住宅の添付書類で建売住宅の住宅用家屋証明書を事実上取得できてしまう。

これに対し、「原因及びその日付」欄の新築年月日から1年経過後はこのようなことはできない。