動産譲渡登記

制度趣旨

動産の物権譲渡の第三者対抗要件は引き渡し(民法第178条)。

この内、譲渡担保で通常使用されるのは占有改定。

引き渡しの種類
  • 現実の引渡し(民法182条1項)
  • 簡易の引渡し(民法182条2項)
  • 占有改定(民法183条)
  • 指図による占有移転(民法184条)

占有改定は引渡しの事実が外形上明らかでないという問題がある。

そこで、占有改定による引渡しを外形上明らかにする仕組みが動産譲渡登記である。

MEMO
質権設定の引渡しに占有改定は含まれない(民法第345条)ので、動産質権の設定は登記の対象ではない。

動産譲渡登記がされるとを民法第178条の引渡しがあったものとみなされる(特例法第3条)

(特例法=動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律)

注意
動産の譲渡人は法人に限定

動産の特定方法

個別動産

種類・特質・備考で特定

種類
特質 個体識別番号 123456789
備考  

集合動産

種類・所在・備考で特定

種類
所在 島根県松江市殿町一丁目123番
備考 保管場所の名称:松江牧場

使い分け

個別動産として特定した場合は識別番号の牛が譲渡担保の目的であるが、集合動産として特定した場合は松江牧場内の牛が譲渡担保の目的である。

つまり、牛(個体識別番号 123456789)が出荷されてなくなった場合、個別動産の場合は担保の目的物が消滅するが、集合動産の場合は牧場内に他の牛があれば担保の目的物は存在する。

また、牛 (個体識別番号 123456789) が松江牧場内から出た場合、個別動産の場合は担保の目的物に影響はないが、集合動産の場合は松江牧場内から出た牛(個体識別番号 123456789)は担保の目的物でなくなる。

登記の種類

  • 動産譲渡登記
  •  延長登記
  •  抹消登記

これらの登記しかないので、担保目的物の差し替えをしたり、特定方法を変更したりする場合は抹消登記+動産譲渡登記をする。

管轄登記所

登記申請

東京法務局民事行政部動産登録課

登記事項概要証明書又は登記事項証明書の交付申請

東京法務局民事行政部動産登録課

概要記録事項証明書交付申請

譲渡人の本店所在地を管轄する登記所

動産譲渡登記の添付書類

印鑑証明書

譲渡人の代表者に係る印鑑証明書(3 か月以内)

代表者の資格を証する書面

  • 登記事項証明書(3ヵ月以内)
  • 住所証明書と兼用可
  • 会社法人等番号による省略不可

住所を証する書面

法人⇒登記事項証明書(3ヵ月以内)

個人⇒住民票の写し

代理権限を証する書面

譲渡人は登記所届出印で押印

特別の事由があることを証する書面

必要な場合

動産譲渡登記の存続期間が登記の日から10 年を超える場合に添付。

特別の事由
被担保債権の償還期間が10年を超える場合など

具体的書類

  • 譲渡担保契約書
  • 金銭消費貸借契約書(譲渡担保契約書に被担保債権の償還期間の記載がない場合)

MEMO
各写しに譲渡人が原本証明する(届出印)

※単に債権保全のため当事者間で法定の存続期間を超える合意をした場合は「特別の事由」に不該当

事前提供方式特有の書面

  • 二次元コード記載用紙
  • お知らせの用紙(事前提供番号等が記載)

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