司法書士業務と売上
個人事業主の司法書士が消費税非課税業者の場合の仕訳方法である。なお、消費税課税事業者で税込方式を採用している場合も同じである。
源泉徴収がない場合
4月30日、司法書士報酬55,000円(うち消費税5,000円)を現金でAから受け取った。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 現金 55,000円 | 売上 55,000円 | A |
源泉徴収がある場合
4月30日、B株式会社から50,916円が預金口座に振込まれた。
なお、この請求に係る請求書内訳は、司法書士報酬50,000円、消費税5,000円、源泉徴収額4,084円である。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 普通預金 50,916円 | 売上 50,916円 | B株式会社 |
04/30 | 事業主貸 4,084円 | 売上 4,084円 | 源泉所得税 |
なお、補助科目を入力しておくと決算時に便利である。補助科目は経理ソフトで追加できるが、上級者向きであるから無理に付けなくてもよい。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 普通預金 50,916円 | 売上 50,916円 | B株式会社 |
04/30 | 事業主貸 4,084円 (補助科目 源泉所得税) | 売上 4,084円 | B株式会社 |
源泉所得税については下記を参照。
司法書士業務と登録免許税
登録免許税の電子納付
4月30日、登記申請し、登録免許税10,000円をAのために立て替えた。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 立替金 10,000円 | 普通預金 10,000円 | 登録免許税(A) |
また、納付した預貯金口座が事業用ではない場合は次のとおり。
なお、事業用の預貯金口座か否かは預貯金口座を貸借対照表に載せるか否かで決まる。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 立替金 10,000円 | 事業主借 10,000円 | 登録免許税(A) |
登録免許税の印紙納付
4月30日、登記申請し、登録免許税10,000円をAのために立て替えた。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 立替金 10,000円 | 現金 10,000円 | 登録免許税(A) |
また、収入印紙の購入に使用した現金が事業用の資金ではない場合は次のとおり。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 立替金 10,000円 | 事業主借 10,000円 | 登録免許税(A) |
登録免許税の回収
4月30日、登録免許税の立替金10,000円がAから預金口座に振込まれた。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 普通預金 10,000円 | 立替金 10,000円 | 登録免許税(A) |
司法書士業務と登記情報提供サービス
登記情報提供サービスの支払クレジットカードの引き落とし口座が事業用口座の場合
取得時
4月30日、登記情報提供サービスで登記情報1通(331円)を取得した。
なお、Aの案件に関するもので、A負担分を立て替えた。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 立替金 331円 | 未払金 331円 | 登記情報(A) |
登記情報取得の度に仕訳する方が後々楽である。そこで次のような表を作成しておく。
取得日時 | 氏名 | 331 | 361 | 仕訳 | 入金日 |
4/30 | A | 3 | 2 | 4/30 | 07/30 |
5/1 | B | 2 |
支払い時
6月10日、A案件の登記情報1通(331円)立替分がクレジットカード支払いにより、事業用口座から引き落とされた。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
06/10 | 未払金 331円 | 普通預金 331円 | 登記情報(A) |
精算時
7月30日、A案件の登記情報1通(331円)立替分をAから現金で回収した。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
07/30 | 現金 331円 | 立替金 331円 | 登記情報(A) |
これに対し、登記情報提供サービスの支払クレジットカードの引き落とし口座が事業口座ではない場合は次のとおり。
取得時
4月30日、登記情報提供サービスで登記情報1通(331円)を取得した。
なお、Aの案件に関するもので、A負担分を立て替えた。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 立替金 331円 | 事業主借 331円 | 登記情報(A) |
支払い時
6月10日、A案件の登記情報1通(331円)立替分がクレジットカード支払いにより事業用でない口座から引き落とされた。
仕訳無し。
精算時
7月30日、A案件の登記情報1通(331円)立替分をAから現金で回収した。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
07/30 | 現金 331円 | 立替金 331円 | 登記情報(A) |
事業主貸と事業主借
事業主貸と事業主借は個人事業主特有の勘定科目である。
個人事業主は事業の売上をそのまま自分の財布に入れ日用品などを購入することがある。また、事業の立替金を自分の財布から支払うことがある。
このような場面においては事業主貸と事業主借で仕訳することで貸借対照表に反映させる。すなわち、事業主貸と事業主借は損益計算書に反映されるものではない。
事業主貸
事業資金(振込)で国民年金を支払った
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 事業主貸 16,000円 | 普通預金 16,000円 | 国民年金 |
報酬10,000円を源泉所得税1,021円差し引かれた上で受け取った
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
05/01 | 普通預金 8,979円 | 売上 8,979円 | |
05/01 | 事業主貸 1,021円 | 売上 1,021円 | 源泉所得税 |
事業主借
テナント家賃を事業用の預貯金口座でなく、生活資金から支払った。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 地代家賃 80,000円 | 事業主借 80,000円 | 6月分 |
生活資金から事業用口座にお金を移動した。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 普通預金 200,000円 | 事業主借 200,000円 |
クレジットカードにおける事業主貸と事業主借
事業用のクレジットで事業費の支払い
04/30 カードを切る
06/15 引き落とし
発生主義で仕訳すると次のようになる。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 消耗品費 10,000円 | 未払金 10,000円 | |
06/15 | 未払金 10,000円 | 普通預金 10,000円 | 楽天カード |
現金主義で仕訳すると次のようになる。この仕訳は発生主義でないので好ましくないが、カード支払いと引き落としが同一年であることを条件として仕訳することがある。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
06/15 | 消耗品費 10,000円 | 普通預金 10,000円 | 楽天カード |
事業用のクレジットで生活費の支払い
04/30 カードを切る
06/15 引き落とし
発生主義で仕訳すると次のようになる。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 事業主貸 10,000円 | 未払金 10,000円 | |
06/15 | 未払金 10,000円 | 普通預金 10,000円 | 楽天カード |
現金主義で仕訳すると次のようになる。この場合の事業主貸勘定は事業仕訳と無関係であるから、原則現金主義で仕訳でよいと考えられる。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
06/15 | 事業主貸 10,000円 | 普通預金 10,000円 | 楽天カード |
生活用のクレジットで事業費の支払い
04/30 カードを切る
06/15 引き落とし
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 消耗品費 10,000円 | 事業主借 10,000円 |
生活用のクレジットで生活費の支払い
04/30 カードを切る
06/15 引き落とし
仕訳なし。
司法書士業務と預金利息
事業用口座
4月30日、事業用の預金口座に預金利息6円が振り込まれた。
日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
04/30 | 普通預金 6円 | 事業主借 6円 | 預金利息 |
個人口座
4月30日、個人の預金口座に預金利息6円が振り込まれた。
仕訳無し。