長期相続登記等未了土地解消作業の流れ
手順1
対象土地の候補
法務局が、地方公共団体から調査対象の地区について、希望を聴取する。
手順2
対象土地の決定
法務局が調査する土地の範囲を決める。
- 優先度の高い地域から行う(例 自然災害からの復興)。
- 原則、最後の登記から70年以上経過しているもの。
手順3
調査対象
所有権登記名義人の戸籍を収集し、死亡から10年以上経過している場合に相続人の調査が行われる。
手順4
法定相続人情報
戸籍を基に作成相続関係説明図が作成される。作成後、作成番号が付される 。
手順5
登記記録へ反映
所有権登記名義人の付記登記で、長期相続登記等未了土地解消作業の対象である旨及び作成番号が記載される。
手順6
法定相続人へ送付
法務局の基準により法定相続人中の1名に案内文を送付する。
手順7
説明会
文書を送付した法定相続人に対し説明会を実施する。
長期相続登記等未了土地解消作業の成果
法定相続人情報
法定相続人情報が作成され、相続登記の際にそれを利用することで戸籍収集が不要になる。
- 作成番号が付記登記で記載された不動産以外の不動産においても利用可。
- 作成番号を付した管轄法務局以外の法務局でも利用可。
閲覧申請
法定相続人情報は基本的に相続人が法務局に対し請求すれば閲覧が可能である。
認められているのは証明書の閲覧(交付は認められていない)なので、実際は法定相続人情報が記載された用紙のコピーが交付される。
相続登記において法定相続人情報を援用する場合は下記の通り記載するものと考えられる。
「登記原因証明情報(一部法定相続人情報 作成番号第2800‐2019‐1234)」
長期相続登記等未了土地解消作業の問題点
不公平
法定相続人情報の作成は国費でされるので調査対象の人は無条件で戸籍収集の負担を逃れる。
調査対象になるか否かは運である。
また、相続登記を放置している人がこの恩恵を受けて、代々きちんと相続登記をしていた人は何の恩恵もない。
個人的には法定相続人情報の閲覧には高額な手数料を要求すべきと考える(法定相続人の数に応じて数千円から数万円の手数料)。
個人情報
法定相続全員の個人情報が記載されているものを法定相続人の1人に無条件に閲覧させてよいのか。
少なくとも正当事由がある場合にしか閲覧できないようにすべきである。