司法書士実務ノート 目次
共有と住所移転
共有者の一人が住所移転
登記の目的 所有権登記名義人住所変更
原 因 年月日住所移転
変更後の事項
共有者甲の住所 〇〇
申 請 人 甲
登録免許税 1,000円×不動産の個数
共有者全員が同一日・同一場所に移転
Ａ土地の共有者が甲乙であるところ、共有者全員である甲乙が同一日に同一場所に住所移転した場合には1件の申請書で申請できる。
登記の目的 所有権登記名義人住所変更
原 因 年月日住所移転
変更後の事項
共有者甲及び乙の住所 〇〇
申 請 人 甲 乙
登録免許税 1,000円×不動産の個数
※移転日又は移転先の住所が異なる場合には1件の申請書で申請できない。
この登記は夫婦名義で土地を購入した後、建物新築の登記においてなされることが多い。
共有者一部が同一日・同一場所に移転
Ａ土地の共有者が甲乙丙であるところ、共有者の一部である甲乙が同一日に同一場所に住所移転した場合には1件の申請書で申請できる。
登記の目的 所有権登記名義人住所変更
原 因 年月日住所移転
変更後の事項
共有者甲及び乙の住所 〇〇
申 請 人 甲 乙
登録免許税 1,000円×不動産の個数
※移転日又は移転先の住所が異なる場合には1件の申請書で申請できない。
単有と共有の住所移転
Ａ土地（甲単有）とＢ土地（甲乙共有）で、甲が住所移転した場合、登記原因及び日付が同一であれば1件の申請書で申請できる。
登記の目的 所有権登記名義人住所変更
原 因 年月日住所移転
変更後の事項
所有者及び共有者甲の住所 〇〇
申 請 人 甲
登録免許税 1,000円×不動産の個数
地番変更を伴わない行政区画の変更
地番変更を伴わない行政区画の変更があった場合、登記記録の行政区画について変更の登記があったものとみなされる。
そのため、所有権移転登記や抵当権設定登記の前提として所有権登記名義人住所変更登記は不要である。また、この場合、表題部は登記官が職権で変更登記するが、権利部はしない。
なお、所有権登記名義人住所変更登記を申請しても受理はされる。
不動産登記規則第92条
行政区画又はその名称の変更があった場合には、登記記録に記録した行政区画又はその名称について変更の登記があったものとみなす。字又はその名称に変更があったときも、同様とする。
２ 登記官は、前項の場合には、速やかに、表題部に記録した行政区画若しくは字又はこれらの名称を変更しなければならない。
行政区画の変更証明書
地番変更を伴わない行政区画の変更があった場合の登記原因証明情報の代表例は住民票や戸籍の附票であるが、行政区画の変更証明書を添付してもよい。
行政区画の変更証明書は管轄市町村で無料で取得できる。さらに被証明者の委任状は不要である。
登録免許税
地番変更を伴わない行政区画の変更があった場合の登録免許税は非課税である（登録免許税法5条5号）。
住所移転⇒行政区画変更
登記の目的 所有権登記名義人住所変更
原 因 年月日住所移転 年月日行政区画変更
登録免許税 非課税（登録免許税法第5条第5号）
住所が原始的不一致、住所移転、氏名変更
登記の目的 所有権登記名義人住所、氏名変更
原 因 錯誤 年月日住所移転 年月日氏名変更
登録免許税 金1,000円×不動産の個数
住所が原始的不一致、その後住居表示実施
登記の目的 所有権登記名義人住所変更
原 因 錯誤 年月日住居表示実施
登録免許税 非課税（登録免許税法第５条第４号）
住居表示実施
登記の目的 所有権登記名義人住所変更
原 因 年月日住居表示実施
変更後の事項 〇〇
申 請 人 甲
登録免許税 登録免許税法第５条第４号により非課税
登記原因証明情報は住居表示実施証明書、住民票又は戸籍の附票である。
本籍地から移転した場合
登記記録の住所が本籍地で登記されている場合で、その本籍地と現住所が異なる場合には住所変更登記又は住所更正登記が必要である。
住民票又は戸籍の附票を確認し、「住所を定めた日」と「本籍地による登記受付日」を確認し、
- 「住所を定めた日」が「本籍地による登記受付日」の後であれば住所変更登記をする。
- 「住所を定めた日」が「本籍地による登記受付日」の前であれば住所更正登記をする。
登記記録上の本籍地と、現住所が同一であれば所有権登記名義人住所変更登記は不要であると考えられる。
住所変更登記
登記の目的 所有権登記名義人住所変更
原 因 年月日住所移転
登録免許税 金1,000円×不動産の個数
住所更正登記
登記の目的 所有権登記名義人住所更正
原 因 錯誤
登録免許税 金1,000円×不動産の個数
抵当権登記名義人表示変更
本店移転
登記の目的 抵当権登記名義人住所変更
原 因 年月日本店移転
登録免許税 金1,000円×不動産の個数
主たる事務所移転
登記の目的 抵当権登記名義人住所変更
原 因 年月日主たる事務所移転
登録免許税 金1,000円×不動産の個数
商号変更
登記の目的 抵当権登記名義人名称変更
原 因 年月日商号変更
登録免許税 金1,000円×不動産の個数
遺贈
被相続人たる登記義務者の登記記録の住所と被相続人の死亡時の住所が相違する場合は住所変更登記が必要な場合がある。
- 遺言執行者が登記義務者として申請するときは住所変更登記が必要である。
- 相続人が登記義務者として申請するときは住所変更登記は不要である。