表現の自由の限界(憲法10)

検閲

行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部又は一部の発表の禁止を目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止すること(判例)

事前抑制の禁止

公権力による表現の事前抑制は原則として排除されるべきである

  • すべての思想は公にされるべき(思想の自由市場)
  • 事後抑制に比べて規制の範囲が一般的で広範

裁判所による差止め

北方ジャーナル事件(最大判昭61・6・11)
  • 表現行為の事前抑制は憲法21条の趣旨に照らし、厳格かつ明確な要件のもとにおいてのみ許容される
  • 出版物の頒布等の事前差止めは事前抑制に該当し、その対象が公務員又は公職選挙の候補者に対する評価、批評であれば一般に公共の利害に関する事項といえる
  • よって本件表現行為に対する事前差止めは原則許されない
  • 但し、表現行為が真実でなく、又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であって、かつ被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときは事前差止めが可能

表現行為を制限する法令の審査

形式的審査

明確性の原則

表現行為を制限する法令の形式的審査に当たっては、当該制限の要件が明確であるかが審査される(明確性の原則)

明確性の原則の趣旨

  1. 行政の恣意的な運用を許す危険性を排除
  2. 萎縮的効果をもたらす恐れを排除

判例要旨

徳島公安条例事件(最大判昭50・9・10)
  • ある刑罰法規があいまい不明確ゆえに憲法31条に違反するかは、通常の判断能力を有する一般人の理解において、具体的場合に当該行為が刑罰法規の適用を受けるかを判断できる基準が読み取れるか

実質的審査

基準

人権の性質と制約態様に着目

制約態様につき、内容規制と内容中立規制で基準を使い分ける

内容規制

表現行為そのものを禁止したり、不利に扱ったりすること

「明白かつ現在の危険」の基準や、最も厳格な基準を使う

内容中立規制

表現行為の方法(時、場所など)を規制すること

LRAの基準を使う

LRAの基準

立法目的が正当なものでも、規制手段がついて、立法目的を達成するためのより規制の程度が少ない手段があるか審査する基準