基本的人権の意義(憲法4)

人権の特徴

固有性

人権は、人であるが故に当然に有する権利である(自然権的な発想)

⇒憲法や天皇から恩恵として与えられるものではない

不可侵性

人権は公権力によって侵害されない

但し、無制限に認められるものではなく公共の福祉のために一定の制限を受ける

普遍性

人権は人であれば当然に享有する権利である

⇒人種・性別・身分などで差別されない

但し、外国人などに一定の制限がある

人権の内容

自由権

個人の思想や行動に対しての国家権力の介入を排除する権利

国家からの自由

参政権

国民が国政に参加する権利

国家への自由

社会権

人として最低限度の生活を送るために必要な政策を国家に請求する権利

国家による自由

注意
社会権が増大すると自由権が害される可能性があるので、自由権の保障を原則として両者のバランスをとる必要がある

人権の性質

法規範性

憲法で保障された権利であること

⇒法的権利である

裁判規範性

裁判所に対して救済を求めることができる権利であること

⇒具体的権利である

※抽象的権利:法的権利であるが、具体的権利でないもの(司法での救済不可、政治で救済)

プログラム規定

国家の政治的・道義的な努力義務を課したもの

  プログラム規定 抽象的権利 具体的権利
裁判所による救済 法律の根拠要 法律の根拠要 法律の根拠不要
法律の根拠無の場合の救済  立法政策のみ 立法政策のみ 立法政策・裁判所

制度的保障

人権保障に必要な制度を保障すること

制度が保障されることで人権が保障されると考える

  • 大学の自治
  • 政教分離※争い有
  • 私有財産制
  • 地方自治

人権の享有主体

日本国籍を有する自然人の他、下記について人権が保障されるか

  • 天皇・皇族
  • 法人
  • 外国人
  • 未成年

法人の人権

人権主体性

判例※は法人にも性質上可能な限り人権を認めるべきとしている

※八幡製鉄事件(最大判昭45・06・24)

人権の範囲

法人に認められないもの
  • 選挙権・被選挙権
  • 生存権
  • 生命身体に関する自由
法人に認めるべきか問題となるもの
  • 信教の自由
  • 学問の自由
  • 集会・結社・表現の自由

人権保障の程度に関する判例

八幡製鉄事件(最大判昭45・06・24)
会社は自然人と同様の政治活動の自由を有する
国労広島地本組合費請求事件(最判昭50・11・28)
  • 組合活動の内容・性質と、これについて組合員の求められる協力の内容を比較考量する
  • 多数決原理に基づく組合活動の実効性と、組合員個人の基本的利益の調和を図る
  • 安保反対闘争のような活動を賛成するか否かは自己の自由な思想の下で決定すべき
  • 費用負担の強制は、支出目的と政治的活動の関連性が明白であれば、その活動の積極的協力の強制といえる
  • 選挙においてどの政党又はどの候補者を支持するかは投票の自由と表裏をなすもの
南九州税理士会政治献金事件
  • 税理士会は強制加入団体であるので、会社と同一に論ずることは不可
  • (強制加入団体である)税理士会が、多数決により決定した意思表示及びそれに伴う会員の協力義務には限界がある
  • 政治団体へ金員を寄付するか否かは投票の自由と表裏をなすもの
群馬司法書士会事件
  • 司法書士会の目的は、司法書士法記載の目的の他、その目的を遂行する上で必要な範囲で他の司法書士会と連携・協力・援助することも含まれる
  • 本件の寄付金の額は、本件の事情を考慮すると目的の範囲外とまでは言えないので、会員に対する負担金の徴収は思想信条の自由を害するものではない
  • また会員各々の負担額は過大なものではない
  • よって公序良俗に反しない

外国人の人権

人権主体性

外国人:日本在住の日本国籍を有しない者

判例※・通説は権利の性質上、日本国民のみを対象としているものを除き、外国人に人権保障が及ぶとしている

※マクリーン事件(最大判昭和53・10・04)

人権の範囲

選挙権・被選挙権の判例
定住外国人地方参政権事件(最判平7・2・28)
  • 公務員を選定・罷免する権利は国民主権の原理に基づく国民の権利
  • 憲法前文及び1条によりこの国民主権の国民とは日本国籍を有する者である
  • 地方公共団体は日本国の統治機構の不可欠な要素を成す
  • よって、93条2項の住民は地方公共団体に住所を有する日本国民である
  • 但し、住民自治の観点から、地方公共団体と緊密な関係がある外国人に対し法律で選挙権を付与することは憲法上禁止されていない
公務就任権の判例
管理職選考受験資格確認等請求事件控訴審(東京高判平9・11・26)
  • 国の公務員は3つに大別できる
  • ①国の統治作用の権限を直接行使する公務員⇒外国人不可
  • ②公権力を行使又は公の意思の形成に参画して、統治作用の権限を間接的に行使する公務員⇒外国人可と不可のものあり
  • ③上記以外の公務員⇒外国人可
  • 地方公務員の管理職は②に該当する
管理職選考受験資格確認等請求事件最高裁(最大判平17・1・26)
  • 外国人が公権力行使等地方公務員※に就任することは日本国の法体系では想定されていない
    ※住民の権利義務を直接形成し、その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、又はこれらに参画することを職務とする公務員
社会権の判例
塩見訴訟(最判平1・3・2)
  • 限られた財源の下で自国民を在留外国人に優先することは許される
出入国の自由

判例

  • 外国人の入国の自由⇒保障していない
  • 外国人の在留の自由⇒保証していない
  • 外国人の出国の自由⇒保証している
再入国の自由

保障する説:出国の自由と同様に憲法上保障されるとする

保障しない説:憲法上保障されていない(但し、再入国は入国に比べて特別なは配慮が必要)

政治活動の自由に関する判例
マクリーン事件(最大判昭53・10・4)
  • 外国人に政治活動の自由は保障される
  • 但し、保証は外国人在留制度の枠内
  • よって、在留期間の更新の際に消極的な事情として考慮されない保証はない

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です